死刑囚

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何だと? 意味深な言葉に俺は胸が妙に高鳴ってしまった。情けない事この上ない。 「気前良すぎるだろ」 「なんで?」 「なんでって…」 感覚の違いなのか、どうも理解できない。 「一回タダで依頼に応えるって言ってんのよ?」 なるほど。胸の仕えが降りた反面、期待外れな気分になった自分が嫌になる。 「なら最初からそう言ってくれ。いいのか?」 「もちろん!」 「しゃあねえなぁ。だったらいいよ」 これもまあ取引だ。お願いの一つくらい聞いてやろう。 しかし、俺はこいつがどんな女だったか完全に忘れていた。 「ありがとう!じゃあこれとこれとこれもお願い」 その言葉と共にデスクの引き出しから同じような封筒を三枚、デスク下から抱えないといけない大きさの段ボール箱が出てきた。 「ちょっ、おい!」 「基本は速達、段ボールは海外だから。よろしく」 微笑むまき子に結局俺は荷物を受け取って部屋を出る羽目になった。 まき子とのやり取りはいつもこんなんだ。実に情けない。 そして俺はその後郵便局で2400円も取られた。 一体どこに出したんだよ。プライバシーは侵害しないように極力宛先は見ないようにしたけど。 今日は平日だが学校は休みだった。創立記念日ではないが何かの代休だ。 といっても特にする事もなく、まき子の用も午前中に済んだし後は帰って〈ベルナール〉で店員をするだけの一日になりそうだった。 「…シケた日だよな」 雨が降りそうな曇り空もまたつまらない一日を演出している気がした。 こんな日は本当にテンションが上がらない。まあ最近は雨の降る日も少なかったし、少し涼しい空気は爽やかだけれど。 ゆっくりとしたペースで変わらない街を歩いて〈ベルナール〉を目指して駅方面に向かっていると、右手前方に何だか珍しい黒山の人だかりを発見した。 火事でもない限りそんなに人だかりが出来る事はないのだが、救急車はあるが消防車はない。何か事件なんだろうか?
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