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3.
「ああこれだ!お前この時めっちゃキノコ頭だな!」
「だって行きつけの床屋がそれしかしてくれなかったんだよ」
その後、先生と思い出話の一つで意見が食い違い、検証しようと二階に上がり俺と健ちゃんと卒業アルバムを見てあの時どーだのこーだのと笑っていた。
「あっ、マサキお前この娘好きだった?」
健ちゃんが写真を見てさらっと指摘する。
「なっ、えっ?」
「だって絶対タイプだろ?一見判断に迷う地味なブス」
地味なブスってなんだ?もちろん派手なブスは嫌だけど。というよりは当たっている。確かにこの中山可奈は好きだった。
「やめろよ!ブスかどうかと好きかどうかは関係ないだろ?」
「個性的な顔が好きって事だろ?別にムキになるなよ」
「先生はさぁ、中山ってそこまでブスだと思う?」
「中山かぁ、あんまり覚えてないな。ちょっと地味な感じだよな。お母さんは派手だった気がするけどな」
助け船を求めたはずが先生もいい加減であった。
「何で覚えてないの?」
「当たり前だろ?お前らみたいな問題児はともかく毎年いろんな生徒がいるんだから一々覚えてたら何百人になると思ってんだ」
「そんな夢の無い事言わないでよ」
とは言うものの、問題児で良かったとも思った。
「いやでもほんとだぞ。覚えてるのは大体お前らみたいな奴、めちゃくちゃ勉強が出来るか運動神経のいい奴、後は可愛いかった生徒だな」
「ほら覚えてもらってないって事は可愛くないって事だ。先生に証明されたな」
健ちゃんは勝ち誇ったように言う。
それならそれで構わなかった。中山可奈は別に彼女でもなんでもないわけだし。
「もういいよそれなら」
「すぐ拗ねるからな」
俺を見かねた先生が肩を強く揉みながら話しだした。
「おい東野冗談だよ、中山は覚えてる。4年の時に先生が風邪で体調崩したんだけど一人でクラスの人数分の鶴折ってくれたんだ。手紙も書いてくれてな。クラスみんなで待ってますってさ。感動したな。あんな時が一番先生やってて良かったなって思えるよ」
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