9.空間の断裂

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当然、皆頷くし、第一段階というからには、第二段階もあるのだろうと期待している。 「で、第二段階は、俺にしか出来ないことだが…」 リリスとリサは生唾を飲み込み、マルスとアーシェは頷きつつ、次の言葉を待つ。 「この魔法陣に対する相殺魔法陣を、世界規模で発動する物を作り出す」 …一同の思考は停止しました。一同の思考は再起動を要求しています。 固まった皆を放置して、俺は目の前のお茶を飲み、ポットから注いで飲み続ける。 15分後…身動きしない皆を不審に思ったのか、侍従長が話の聞こえない位置から近づいてくる。 「あの、アルガス国王様、恐れながらお尋ね申し上げます。皆様は一体…」 侍従長が恐る恐る俺に質問してくる。 「あぁ、気にしなくて構いません。私の冗談が余りにも寒かったようで、固まってしまっただけですよ。大丈夫ですから戻っていてくださいな」 そう言って、俺は流石にこれ以上放置は拙いと思い、リリスの横に立つと、リリスの頬をペチペチ叩く。 我に返ったリリスを放置して、続いてリサの頬をペチペチ叩いて復帰を促す。 …さて、マルスとアーシェはどうしたものか…流石に頬を叩くわけにもいかない。 助けを求めて近くのリサを見るも、対策は思い浮かばない様子。 リリスも同様だ。 (風、弾、破裂、レベル0.1) 篭手に魔力を送り、空に風弾を放つと、すぐに破裂させた。 それは、少し大きめの爆音を響かせ、マルスとアーシェの正気を取り戻した。 「お帰りなさい。まぁお茶でも飲んで、心を落ち着けて…」 俺の言葉に従い暖かいお茶を飲むと、マルスとアーシェは落ち着きを取り戻し、リリスとリサは俺の言葉と状況にアベコベだと思っていた。 うん。わかってる。理解してるよ。アベコベだよね。
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