9.空間の断裂

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落ち着いたのを見計らって、俺は口を開く。 「いくら俺でも、そんなにすぐには出来ないさ。なんというか、アホみたいな量の資料とか調べないといけないし、材料とかも調べないと。その為の副隊長身分なんだから…ともかく、そんな感じかな。」 そこまで言って、マルスとアーシェを見ると、真偽を問いたいと顔に書いてある。 やっぱり実践しないと駄目? 「わかったよ。魔法陣を実践すりゃ納得するのか?」 その言葉にマルスとアーシェも頷いた。 さてさて、どうしたものか…。 俺は、白紙の紙を貰って、魔法陣を書く。 それは、俺オリジナルの魔法陣ではなく、過去に存在した魔法陣。 書き終わると、俺はペンをその魔法陣の上に置いた。 「これは、俺オリジナルって訳じゃなく、太古の昔に既に存在した魔法陣だ。場所をイメージしながら、ここの文字に無属性魔力を送ると…」 魔法陣の上からペンが消えた。 そして…侍従長の目の前にペンが落ちる。 俺は侍従長の方を指差して、マルスとアーシェにその場所を教える。 突然現れたペンに驚きながらも、侍従長は俺達の方を見る。 俺が手招きするとペンを持って侍従長が走ってくる。 侍従長からペンを受け取ったマルスとアーシェは、魔法陣の効果に呆然としている。 「さっきの説明で言う、今の音声魔法には、空間を移動させる類の魔法は無い。これが良い証明だな?」 もはや、疑う余地無く、頷くしかない二人。 よし、完璧だ。
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