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俺はその紙にもう一つ魔法陣を書く。
で、別の紙に微妙に違いつつも似た魔法陣を書くと、その紙をマルスに渡す。
「さて、この魔法陣はこの文字に無属性魔力を送る。こっちの魔法陣はこの文字」
そう言って俺は魔法陣に無属性魔力を送り続ける。
「送り続けている間、俺の言葉がそっちの魔法陣に届く。そんなに魔力は消費しないから、試してみては?」
俺がそう言うと、マルスは恐る恐る無属性魔力をその文字に送りながら、紙に話しかける。
「こ…これで、い…いいのか?」
その言葉は俺の手元の紙から響く。
「そうそう。そんな感じ。便利だろ?それはあげるよ。距離は関係ないから緊急の連絡はそれで大丈夫だろ?」
その言葉に嬉しそうにマルスは頷いた。
「リリスもリサも、アーシェと話が簡単にできるようになったな」
その言葉に、リリス、リサ、アーシェ共に喜んだ。
話そうにも今までは何日もかけて、馬車を走らせる必要があったのに、これがあればスグにでも話せるのだ。
これほど嬉しいことは無い。
「このような魔法陣、便利は便利だが、使い方によって、犯罪を助長する。だから、普及には相当な法整備と安全対策を取ってからでないと、怖くて出来ない。マルス、君にはその恐ろしさがわかると思ってな。だから、暫く魔法陣の存在は伏せておいてくれ」
その俺の言葉にマルスは頷いた。
「新しく即位した君という人柄が、この、濃密なティータイムで良く判ったよ。最高だ!!この短時間の内に、俺の中でもう親友と呼んで良い感じになってる。なんて奴だ」
マルスのハシャギ様といったら、今にも踊りだしそうだ。
俺も、現状を正しく理解されて嬉しいものだ。
リリスもリサも漸くホッとできたようだ。
その後、雑談を交えた昼食会を終え、リヴァルデ王国内の視察をした後、晩餐会に参加、リヴァルデ王国内の各領主との顔合わせをした。
そして、翌日、マルスとアーシェに見送られながら、帰国した。
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