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小一時間程で、リサ、シルフィー、グルンヴェルデ伯爵が王の間に到着した。
リリス、リサ、シルフィーは何をするのかわからない。
「さて、グルンヴェルデ伯爵、気分はどうかね?少々手狭な部屋で申し訳ないとは思っているのだよ。」
その俺の言葉に、グルンヴェルデ伯爵は露骨に嫌そうな顔をした。
「閉じ込めた俺に相当な怒りもあるだろうね。そんな君に王としてこれを少しの間だけ返してあげよう」
そう言って輝聖石を放り投げる。
それはグルンヴェルデ伯爵の足元に転がる。
その行動にリリスもリサも慌てた。
シルフィーは何がどうなっているかすら把握できていない。
「王様、一体何を…彼にそんなものを渡したら…」
リサの言葉も正しい。
リリスは慌てながらも、俺の行動を理解しようとはしているようだが、理解は出来ていない。
「近衛副隊長、グルンヴェルデ伯爵の縄を解け」
「しかし…」
「良い。構わないから解きなさい」
シルフィーの提言を無視して俺は指示を出す。
シルフィーも俺のこの行動には驚いているが、何か裏があると勘付き渋々ではあるが指示に従い、縄を解く。
グルンヴェルデ伯爵も状況が飲み込めていない。
ただ、自分をあの屈辱的な部屋に拘束した張本人が目の前におり、縄が解かれた上で、取り上げられた輝聖石が足元にある。
グルンヴェルデ伯爵も、すべき行動は決まっている。
…復讐だ…
「自称復讐感謝祭も構わないが、先に一言。魔法は使わない方が良い。これは親切心からの忠告だ」
俺のこの言葉はグルンヴェルデ伯爵は聞き入れるだろうか?
…無理だろうな…
グルンヴェルデ伯爵は足元の輝聖石を拾う。
リサとシルフィーは身構えるが、俺が手で制す。
リリスは俺の後で身動きしない。
俺は、玉座の肘掛に肘を置き、顎に手を置いてゆったりと待つ。
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