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「リリスの目を盗んで、これだけの人が権力を乱用したんだ。国民の不満は既に最悪の状況と思った方がいい。前例は無いが、リストの人間の一部だけでも国民の前で、罪状を読み上げ、公開で投獄指示を出す。それ以外の方法では国民が納得するとも思えない」
その言葉にリリスとリサは納得する。
「リサは、近衛隊を総動員して、リストの人を捕縛する。俺も副隊長として参加するから安心して。今から門に集合させてくれ」
リサは頷くと、部屋を出て行った。
たぶん、隊員を呼びに行ったのだろう。
「リリスは、俺が不在の理由を考えてくれ。終わったらリサも含めて酒でも飲んでウサ晴らしでもするか?」
俺からの珍しい誘いに、リリスも喜び頷いた。
俺は、一枚、名前部分を空白にした書類を作ると、魔法で複製していく。
その後、空白部分の名前欄に、リストの人間の名前を記入していく。
それはもう、嵐のような作業ペースだった。
放り投げる書類をリリスは呆然と拾い集め、揃えていく。
10分後、俺は書類を持って、門の前に居る。
リサは、書類無しで、誰を捕縛するか理解できているのだろうか?
…理解してないな…
…あんな人数、覚えきれるわけがない。
大体、リリスの目の前で作成した書類…それが無ければ無理だとも気付いていない節がある。
ゾロゾロと隊員が揃い始めて、30分後には隊列が組まれて整列している。
で、ここに至って、リサも気付いて少し慌て始める。
俺は漸く気付いたか…とため息を一つつき、書類をリサに渡す。
書類の始まりの文面…”逮捕状”…
リサは俺を見ると、パーッと明るい笑顔。
その直後にドンヨリした顔。
心の内を解説すると、逮捕者がわかって良かったよーと笑顔になり、この書類が、さっきの話から今までの間に作った事実に気付いてドンヨリって所だろう。
普通は無理だろうな。
気持ちを切り替えたリサが声を上げる。
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