10.内政手術

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仮面を再度着けると、侍従長を呼び、生卵を用意させると、受け取った。 侍従長も、卵なんて何に使うのか不思議でしょうがなかったが、言われた通りにした後、退室した。 俺は、受け取った卵の天辺辺りを軽く割ると、中身を取り出した。 食べ物を粗末にしてはいけない。そう思って、火の魔法で目玉焼きにして食した。 「マコト…おなか空いてたんですか?」 何なんだ!リリスのその哀れみを帯びた目は…。 しかし、気にせず、作業続行。 卵に空いた穴から、インクを中に流し込み、俺は篭手に魔力を流す。 (土、壁、レベル10) 土属性の魔法は、卵の殻と同質成分で卵の穴を塞いでいく。 それをリリスとリサは不思議そうな目で見ている。 その出来た卵をテーブルに置くと、今度は紙に魔法陣を書いていく。 複製の魔法陣だ。 書いた魔法陣の上に卵を置くと、魔力を流す。 卵が一気に10個に増えた。 これは、逮捕状作成の時に見ているリリスは驚かない。 リサは驚いているようだが、顔には、またか…といった諦めの表情もある。 そのうちの1つを手に取る。 「でーきた」 俺の楽しそうな声に、不安を覚えるリリスとリサは、正直聞きたくないけど、聞くことにした。 「マ…コト?…それは?」 リサの声は若干震えている。 「国民のウサ晴らし道具だよ。これなら罪人も怪我せず、国民のウサも晴らせる」 リリスとリサは半信半疑。 仕方ない…リリスとリサにはストレス発散してもらうか。 俺は立ち上がると、卵を抱えてリリスとリサを手招きして、中庭に歩いていく。 中庭には、芝生の広場があり、俺は篭手に魔力を流す。 (土、壁、モデリング、レベル15) 俺は一旦土壁を作成すると、その後、イメージした形に作り直しながら崩していく。 出来上がったのは…グルンヴェルデ伯爵の銅像。 リリスとリサは露骨に嫌そうな顔を見せる。 まぁ、奴の記憶に無くとも、下着姿を無理やり見られた相手だ。 好印象な訳がない。 それが銅像になってるんだから、嫌悪感も大きい。 「悪趣味ね…」 リリスの評価は低い。 いや、良く出来ているからこそ、嫌悪感も強いって辺りかな。 リサも同様の表情。
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