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「メアド教えて?」
「あっうん。」
まあ日常生活を円滑に送るためには多少は人と関わらないといけない。
それに私は『あの人』のイメージに傷をつけちゃいけないから。
断ることなんてできない。
赤外線で送信する。
「わーい♪藍那のアドゲット~!」
私のアドがそんなに嬉しいか?
・・・意味わかんない。
そんな私の様子なんか気にせず心優は鼻唄を歌いながらご機嫌にスマホをいじっている。
ーー・・・っていうか。
人の視線がうざい。
こそこそ話す声も聴こえてるし。
聞こえてくる単語は中学の時にもいやと言うほど聴かされたもので。
そういうのが嫌だから、わざわざ家から遠い学校選んだのに。
私はこっそりため息をつく。
(・・・だから嫌なんだよ)
どうせ。
心優が私のアドを欲しがったのも『あの人』目当てだろうし。
やっぱり私の目に写る世界は白黒で。
色なんか、輝きなんか全くない。
でも私にはこんな世界から抜け出す術なんかなくて。
私は『あの人』とは違うって
思い知らされる。
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