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「シラン、どこなの?」
植物が生い茂る裏庭は、シランのお気に入りだった。
小鳥がさえずり、澄んだ水の池もあり、風か爽やかに吹きぬけた。
が、その生い茂る植物のおかげで、シランを毎日探しまわる姉や侍女たちは、「シランがみつけにくい」と困った顔だった。
シランは良くここに入り浸って、小鳥の声を聞いていた。
小鳥がよってくると、自分も一緒になって歌った。
誰もが聞き惚れるほど、その歌声は美しかった。
「なぁに?誰か読んだかしら?」
池のほとりで花冠を作りながら、シランは姉の声に返事をした。
「シラン、ここにいたのね。
何も言わず出ていってはいけないと、何度言ったらわかるのやら。」
「あら、こんなにお天気も良いのに外へ出ないだなんて、そんな事したら身体が腐ってしまうわ。
それより、用件は何ですの?」
……シランは少々、おてんばなようだ。
「お父様がおっしゃっていたわ。
話があるからリビングに来い、と。」
それを聞くなりあからさまに嫌そうな顔をするシラン。
「嫌ね、何かしら。
またどうせ、結婚の事でしょうけど。」
「はやく行った方がいいわ。わたしはあなたを探すのに20分費やしたのだから、
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