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…顔が近付くにつれて胸の鼓動が高鳴るのを感じる。
そして鼻先にかかる吐息に…葵ちゃんの恥じらう顔と少し潤んだ瞳………頭の芯が痺れていくのが分かる。
やばい…可愛い…なんて思いながら、唇を重ねようと更に顔を近付ける。
すると寸での所で葵ちゃんは何かを囁く。
葵「……てます」
陽季「…?」
良く聞き取れない…
葵「ずっと…見られてます…それに…あの…」
…………見られてる?誰に見られ………口ごもる葵ちゃんの視線の先に目を向けて
陽季「…あっ」
一瞬にして我に返った。
この時になって俺は二人の存在に気付いた…つか、完全に忘れてた。
琢磨は食い入る様に……そして絵美さん…携帯をこちらに向けて何かを撮ろうとしないで下さい………ってもう撮ってるし。
………この後、興醒めしたのか…俺と葵ちゃんが静かだったからなのか分からないが…程なくしてカラオケもお開きとなり帰路に着く。
…………車の中でも葵ちゃんと話す事なく…つか、ずっと顔を合わせてくれない…そうこうしてる内に家に着いた。
車から降りた俺は琢磨達の帰りを見送る…。
琢磨「じゃあまたな♪後でまた連絡するわ♪」
陽季「あぁ分かった。おやすみ」
琢磨と言葉を交わし手を挙げる。絵美さんも手を振る。そして反対側へ振り返る。
絵美「葵ちゃんまた遊ぼうね♪おやすみ♪」
葵「はい♪おやすみなさい♪」
走り出す車…そして残された俺と葵ちゃん。
気まずい雰囲気の中言葉を交わす。
葵「先輩…その…おやすみなさい」
目を合わせてくれない……。
陽季「えと…時間も遅いし家まで送るよ」
頷く葵ちゃん……気まずいながらも二人で歩き出す。
…カラオケの件謝ろうと思ったが中々言葉が見付からない………それと聞きたい事もあった。凄く聞きにくいが。
…まだ葵ちゃんの連絡先聞いてなかった。
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