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パラ。 パラパラパラ。 「はぁー……」 暖かい夏の風にページをめくられていく教科書を見るともなく見ながら、頬杖をつき溜息を吐いた。 一限目、国語。 板書するのも忘れて、物思いに耽る。 『今度、俺のこと描いてくれない?』 溜息の元である昨日の松岡先生の言葉と、その時のめずらしく真面目だった顔がぐるぐるぐるぐるして、頭から離れてくれない。 あの後、「鉛筆デッサンでいいよ」っていうのと、「日曜家に行くから」っていうのを伝えられたことを、辛うじて覚えている。 それほど、最初の言葉にパンチがあり、私にとっては絶望しかなかったから。 だって、松岡先生のほうが絶対絵上手いくせに、私が先生の似顔絵描いて見せるなんて、公開処刑にも程がある。 先生が私を描かせてって言うんならまだしも。
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