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「じっちゃん!中の人、軽い火傷で済んだみたい!」
出てくるなり、ルトが言った。
「ありがとうございます。長老さんと、お孫さんのお陰で助かりました」
島びとがそう言うと、イグネが言った。
「不幸中の幸いじゃったな!いやぁ、助けることができてよかった。どれ、そのくらいの火傷ならわしの回復術でもいけるのぅ」
『回復術 リストレーション』
火傷がみるみる治っていった。
「ありがとうございます。火傷まで治していただいて、なんとお礼したらいいものか」
「ホッホッホ。長老なんじゃから当たり前じゃよ。明日は島のみんなで、お手伝いじゃな。フォッフォッフォ。」
「でも一体どうやって火を止めたんですか?」
ルトも気になっていることを島びとが言った。
「一瞬、二酸化炭素を充満させて、酸素がない状態にしたんじゃ。それで、消化完了じゃ。そしてすぐに、今度は綺麗な空気を充満させて、正常な空気に戻したんじゃ。」
「すごいなぁ」「すげぇ」
2人が同時につぶやいた。
「あ、そうじゃ、ルト。ルトも火傷を治してやろう」
「ないよ!」
ルトはケロっとしていた。
「え、ないって、火傷がないのか?」
イグネは不思議に思った。
火の中に飛び込んでいって、火傷を負っていないわけがなかったからだ。
「もしかして、ルト。お主…」
このあと、何人か駆けつけてきた人たちもいたが、みんな死人が出なくてよかったと言っていた。
この島はそんな、島の住民同士が互いに協力し合う、とっても平和なところだった。
こんな温かい島は、世界中のどこへ行っても、なかなか見つからないだろう。
この島は世界地図にも載らないような、小さな小さな世界の一部。
そう、この島の外の世界は、ひそかにゆっくりと、危険な世界になりつつあった。
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