第2話「修行」

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修行は2年続いた。 予定では3年間は修行をするつもりだったが、ルトの成長スピードが早かったため、まるまる1年も省くことができた。 そして、今日はルトがこの島を旅立つ日。 実戦経験がないため、島の外へ出るとルトが言い始めたのだった。 「ルト、起きるんじゃ!」 イグネが大きな声でルトを起こした。 「ん~、、おはよー。もう朝か」 「そうじゃ、ベルの墓参りに行ったら船でこの島ともお別れじゃよ。しばらくは帰ってきちゃだめじゃぞ。まあ、無理はせんようにな。なにかあったらすぐに連絡してくれ」 イグネは寂しさを隠しながら言った。 「そうだね。じっちゃん!墓参り行って来るから、朝飯用意しといてよ!じっちゃんの飯もしばらくは食べれなくなるしね!」 ルトは寂しさももちろんあったが、旅立ちのわくわくした気持ちもあった。 「ほっほっほ。ついでに昼飯も作ってやろう」 「ありがとう!じゃ、墓参り行って来るね!」 ルトは玄関を出て、ベルの墓石があるところへ向かった。 そしてベルの墓の前に着くと、ルトは墓石に向かって話しかけた。 「母さん。俺、少しは強くなったよ。でももっと強くなりたいんだ。大切な人が傷つかない…いや、誰も傷つかない平和な世界にしたい。そのためにはやっぱり強くならなくちゃね!だから、そのために…外の世界に行ってみようと思う。旅をして、自分なりに強くなってくる。身も、心も。あ、そうそう、まずは母さんの作った研究書を見て回復薬を作れる人探してみる!それじゃ…しばらくは、さようなら!!!」 ルトはいつも元気だが、やはり母親が死んだという悲しみは心に深い傷を負わせていた。 ルトは走って、家に向かった。 「ただいま!」 「おぉ、早かったのぅ。朝飯はカツカレーじゃ!これで勝負時も勝つじゃろうな。ほっほっほ」 カツカレーはルトの大好物であった。
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