20人が本棚に入れています
本棚に追加
「ただいまー」
ルト・クラウザーとその祖父イグネ・アルフォードが自宅の扉を開けたとき、時刻は既に夜の9時を回っていた。
「遅かったわね~」
ルトの母親のベル・クラウザーは少し怒っている感じで言った。
「じっちゃんに魔法について教わってたんだ!」
そう言ってルトが2階の自室へ行くと、ベルとイグネが言い争いを始めた。
「もうおじいちゃん!またルトに魔法教えたのね!?」
「教えて何が悪いんじゃ。ルトのためにも早く教えといたほうがいいに決まっておる」
イグネはこの島の長老であり、凄腕の魔導師でもある。
イグネは早い内にルトを強くしておきたいと思っていた。
それに対し、ベルはまだ少し早いと思っていたのだ。
言い争いはこの後も続いたが、イグネが上手くベルを説得して終わった。
「じゃあ私は新しい回復薬の仕上げに入るから、外の第二研究室行ってくるわね」
「あそこただの小屋じゃけどな。研究室っていうか小屋じゃけどな。まあ頑張るんじゃぞ」
「は~い。じゃあルトのことよろしくね!」
ベルはそう言うとすぐに外へ出て行った。
・・・ガチャ。
見慣れた玄関の扉が、
いつもよりゆっくりと、
静かに閉まった気がした・・・。
最初のコメントを投稿しよう!