第1話「決意」

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「ただいまー」 ルト・クラウザーとその祖父イグネ・アルフォードが自宅の扉を開けたとき、時刻は既に夜の9時を回っていた。 「遅かったわね~」 ルトの母親のベル・クラウザーは少し怒っている感じで言った。 「じっちゃんに魔法について教わってたんだ!」 そう言ってルトが2階の自室へ行くと、ベルとイグネが言い争いを始めた。 「もうおじいちゃん!またルトに魔法教えたのね!?」 「教えて何が悪いんじゃ。ルトのためにも早く教えといたほうがいいに決まっておる」 イグネはこの島の長老であり、凄腕の魔導師でもある。 イグネは早い内にルトを強くしておきたいと思っていた。 それに対し、ベルはまだ少し早いと思っていたのだ。 言い争いはこの後も続いたが、イグネが上手くベルを説得して終わった。 「じゃあ私は新しい回復薬の仕上げに入るから、外の第二研究室行ってくるわね」 「あそこただの小屋じゃけどな。研究室っていうか小屋じゃけどな。まあ頑張るんじゃぞ」 「は~い。じゃあルトのことよろしくね!」 ベルはそう言うとすぐに外へ出て行った。 ・・・ガチャ。 見慣れた玄関の扉が、 いつもよりゆっくりと、 静かに閉まった気がした・・・。
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