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翌朝。
い
「じっちゃん!!!大変だ、じっちゃん!!!」
ルトの大きな声でイグネは目覚めた。
「どうした、ルト??」
「母さんが・・・母さんが!!」
ルトはイグネの手を引っ張り、そのまま外の第二研究室に連れて行った。
「一体どうしたというのじゃ、ルト」
ルトの目線の先にベルが倒れていた。
「ベル!?なにがあったんじゃ、ベル!!!」
「う・・・誰かが・・・急に入ってきて・・・。」
ベルがそう言うと、イグネは言った。
「何者かにやられたんじゃな?すぐにわしの魔導術で助けてやろう!」
イグネはそう言ったが、回復術が苦手だった。
『回復術 リストレーション!!!』
透明に輝く光がイグネの杖の先から出て、ベルの体を覆った。
だが、回復力は不十分だった。
「く、くそ・・・わしの力じゃ足りない・・・」
「おじい・・・ちゃん・・・ルト、よく聞いて・・・。回復薬は盗まれたわ…。でも、研究書はある。きっと・・・なにかの役に・・・たつわ・・・だから・・・だから・・・」
「ベル、もう喋るな!!わしは出来る限りのことをする!ルトは回復術が使える者を呼んでくるんじゃ!」
「わ、わかった!じっちゃん!!!」
それから数時間後、母さんは最後に一言言って、この世から去った。
俺たちは最善を尽くした。
母さんを助けるために、島のみんなが駆けつけてくれたんだ。
回復術を使える人、回復薬を持ってきてくれた人。
でも、母さんは想像以上にダメージを受けていた。
島はここ数十年ずっと平和だったから、回復薬も回復術も大した技術はなかった。
ただ一人、趣味で回復の研究をしていたのは母さんだけだった。
そういえば・・・
最後に母さんが言った言葉・・・
「強くなるのよ。ルト。」
俺は決めた。
この物騒な世の中を…
変えてみせる。
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