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「な・ん・だ・って!?」
変顔とも言えるくらいびっくりした顔でルトが言った。
「特殊能力者はたしかにすばらしい能力を持っておるが、仲間がいてなんぼな助っ人キャラ的な能力者もおるんじゃ。つまり一人では無力に近いが団体だと大いに活躍する能力者じゃな」
「そうなのかぁ。俺はどんな能力があるのかな?」
不安そうなルト。
「まだわからんのぅ。特技とかはあるかの?」
イグネはあごひげをいじりながら言った。
「んー・・・嫌なことがあってもすぐ立ち直れるとか?」
「たしかにそうじゃな。でもそれが能力につながるかはわからんのぅ。うーむ・・・仕方ない。とりあえず、体術の修行でもするかの!」
イグネが杖でポンと床を叩いた。
「いいねじっちゃん!やるやる!!!」
ルトたちは、青臭い芝生が生えている広場に向かった。
体術は誰でも習得することができる。
だが、魔法の前では無意味な場合も多い。
しかし、体術を極めて魔法に匹敵するパワーを会得するものもいる。
修行は5時間に及んだ。
だがルトはまだまだ体力があった。
「よし、今日の修行はここまでじゃな」
イグネがそう言ったときルトは他のところをボーっと見ていた。
「どうしたルト。疲れたのか?」
「じっちゃん・・・あれ。煙上がってるよ!?」
イグネはルトが指差す方向を見た。
「む・・・火事か!?」
イグネがそう言った途端、ルトは急に目つきが変わって、火事のある家のほうへ走り出した。
火事の現場に着くと、ルトは一旦止まって、今度は燃え盛る炎の中へ飛び込んでいった。
イグネは叫んだ。
「なにをやってるんじゃルト!!」
ルトは中の人を助けようと無我夢中になっていた。
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