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この大混乱の影響の薄い式は一人明らかにおかしい動きをする黒い影を敵と見なし攻撃を仕掛けるが、
どれも近くの陰陽師を盾に使うか紛れてしまうかで撒かれてしまう。
早くも冷静さを取り戻し周囲に落ち着くよう呼び掛ける者も現れるが、
大多数の者は未だパニック状態にあるためこの大混乱から回復するにはまだかなりの時間を要するであろう。
余りの混乱ぶりに、怒声を上げ近くの陰陽師に掴み掛かる者。
誰が言ったのか何処から聞こえて来たのかも分からぬ憶測を、更に色を加えて叫ぶ者。
数千の敵が攻めて来たという黒い影が声高に言い放ったデタラメな情報を信じてしまい、
後の事も考えず自分一人逃げるため近くの陰陽師を式に攻撃させ道を拓こうとする者。
それらを利用し比較的楽に大混乱に陥っている集団から脱け出した黒い影は、
この大混乱を作り出した目的を果たすべく処刑台の階段を駆け上る─────その時。
パァッン!!!!
と、先程陰陽師達の頭上で衝撃波を撒き散らした爆発の爆発にも匹敵する乾いた音が広場全体に響き渡った。
『フン、情けない。
誇りある大和国の陰陽師が、あの程度の些事で右も左も分からぬこの狼狽え様とはな。
恥を知 れ、この騒ぎを起こした敵はただの一人だけぞ!!!!
……………と、我が主はお怒りだ。』
武の名門司仙家が先代当主、司仙影虎。
70近い老体にも関わらず全身から力を迸らせる彼の後ろに控えるのは、
左右に3本ずつ合計6本の筋肉の塊のような腕を持つ全長5mを超える人型の化け物。
どうやら今の乾いた音は、この藍色の化け物──司仙影虎の式【暴鬼】が手を叩いた事によるものらしい。
「あと少しでその神成の子を────いや、忌まわしき旧成宮家の生き残りを奪還できる所であったが………残念であったな。
まさか、全て考え通りに事が運ぶとでも思うたか?」
途中までは上手く行っているように思えても、最後の最後で裏切るのがこの世の常。
処刑台の階段の一段目に足を乗せていた黒い影は仕方ないとばかりに振り向き、
「思ってねーよ。
全部思い通りにならないからこそオレは毎回命張って苦労してんだよ。」
大罪人旧成宮家の処刑を邪魔し奪還しようとした者の正体は、
旧成宮家のクーデタを鎮圧するため50億で雇われたレオンハルト・スターダスト。
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