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集団には対抗できない、だからこその単なる死体よりも強烈な死の印象を視覚的に刻み付ける死に行く人間のオブジェ。
斬った手足や抉った内臓や肉片を散乱させて血を撒き散らし辺りを紅に染める事で殺した人数を多いように見せてはいるが、
実際にレオンハルトが殺したのは十数人程度。
それも本当に実力のみで殺したのは、
最初に心臓を抉った者と後ろでボウガンを携えていたプロの傭兵か殺し屋と思われる者達の精々数人。
300人で一人を殺すという自分の身は絶対安全な条件であるからこそ引き受けた男達は。
既に何十人も殺された。
次にあのような殺され方をするのは自分かもしれない。
そんな恐怖を植え付けられた男達は頭数に圧倒的な差があるにも関わらず、
死への恐怖が先行し誰一人として前へ踏み出す事が叶わない。
そしてレオンハルトが向かって来た時には過剰な程に鮮明な自分の死の情景が目に浮かび、
それが辿るべき運命であるかのように体が動かず何もできないまま死を受け入れてしまう。
これは正に、一部の者が受けた強い感情は伝染し易いという集団心理を利用したレオンハルトの戦略勝ちと言えよう。
この場を支配するのはレオンハルトただ一人。
それ以外の者達は全員レオンハルトの手の上。
「………………まだ結構残ってんな。」
恐怖でこの場を支配しているとは言っても、流石に生き残っている全てを殺すには相当の労力を要する。
故に下卑た発言で由利奈を汚した男達を許すのは不本意だが、この茶番を終わらせに掛かった。
「そこにいるって事は、お前らもあの死の作品(ガラクタ)に加わりたい訳?
良いぜ、まだまだレパートリーはあって飽きさせないからさ。
存分に楽しみやがれ。」
そう足元に転がる内臓を掻き回された男の頭へ熊手を思いっきり振り下ろして潰し、
刀身を伝う血で妖しさを増した《断魔》を抜いたレオンハルトは男達の目にどう映ったのであろうか?
「─────だ、嫌だぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
最前列にいて、レオンハルトと目が合い次の標的と定められた男の絶叫が静か過ぎる空間に響き渡る。
そんな反応を楽しむかのようにレオンハルトは《断魔》を肩に置き、
心の奥底まで抉られるような薄く冷たい微笑みを浮かべてそちらへ歩む。
更に絶叫した男の周りにいる者にも視線を向け、その次はお前だと暗に告げた。
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