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絶叫。 薬品に試薬を投じたかのように連鎖的に絶叫が上がり、 それらが重なり合って身の毛の弥立つような最低で最悪なハーモニーを奏でる。 「ま、待ちなさいよ!!! 私はあいつを殺せと言って─────」 「うるせえ、退けよ!!!!」 「やけに割の良い話だと思ったら、やっぱりこういう事かよ!!? あんな化け物を相手にしてたら命がいくつ有っても足りねぇよ!!!!」 抉り出した心臓を噛み千切って吐き捨てるという演出をしながら迫り来るレオンハルトに、 とうとう300人の男達は押し合い圧し合いして蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。 生きるために前の者を殴って押し退け後ろの者に蹴られて転ばされ、 そんな大パニックになりながらも300人の集団はすっかりと掃けレオンハルトと玉司雪の2人のみがその場に取り残される。 玉司雪は男達が逃げる際に邪魔だと散々に殴られ立って歩く事ができず、 しかしそれでもゆっくりめの歩調で向かって来るレオンハルトから少しでも逃げるため無様に地べたを這って進む。 「オイ。」 「ヒッ、嫌──────」 その先の言葉を、レオンハルトは玉司雪の頭を踏みつけて封じる。 そしてしゃがみこみ、鼻血で顔を 紅く汚した玉司雪の胸ぐらを掴んで無理矢理向き合わせた。 「…………………………」 まるで道の端に捨てられたゴミを見るような目で、レオンハルトは玉司雪を睨み暫し沈黙を守る。 「………………300人も雇ってオレを殺そうだなんて、中々大層な事をしてくれるじゃねぇか。」 「ご、ごめ゛んなざい゛」 「いや、それに関しては大して怒っちゃいねーよ。 第三者から見たらお前のは完全に逆恨みだろうけど、オレも申し訳なくなる程度には同情の余地がある。」 だが、とそこで言葉を切ったレオンハルトの目に烈火の如き憤怒が宿る。 「お前は紗耶香を人質に取って卓馬にオレをここに連れて来させた。 その上、何? 由利奈を殺す? ざけてんじゃねぇぞ、このクソ女。 テメェの八つ当たりに他人を巻き込むんじゃねぇよ。」 「だっで、だっで私は─────」 「お前の事情なんて知ったこっちゃねぇんだよ。 オレが言いたいのは、だ。 お前はオレの身内に手を出した。 その時点でもう、お前に情状酌量の余地無しだ。」 「待っ────────」 玉司雪は何かを訴えかけようとしていたが、何を言いたかったのかは永遠に分からないものとなった。
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