1章 ー無くなる平穏ー

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世の中には自分と全く同じ姿をした人が居ると言う。 ドッペルゲンガー。 その自分と同じ人に出会うと自分は死ぬらしい。 俺のドッペルゲンガーの知識はその程度である。 ならばこの現象はどういう事だろうか。 授業は今日から再開した。 朝から皆何事も無かった様に振舞っているのに何か違和感を感じていた。 そして、今は昼休みを目前に控えた3限目の授業、古文。 先生は吉積先生…吉積涼子先生。 吉積先生はチャイムと同時に入って来た。 クラスメイトは普通に授業の準備をしている。 驚いているのは俺だけ… そしてドッペルゲンガーが吉積先生になりすまして居るのかと考えた。 それとも夢?…なら、どっちが… 昨日の事件発覚が夢なのか、今が夢なのか。 ベタに俺は頬を抓った。 痛い。 そして、その痛みで少し冷静になれた。 そうだ。何も公式に吉積先生が殺されたと発表された訳じゃあない。 そもそも昨日、警察が居たのは事実だが何の事件が起きて警察が来たかすら発表されていないのだ。 そうだ。殺人事件なんて、この学校で起きる訳ないじゃないか。
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