1章 ー無くなる平穏ー

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「どうした縄文…今日は顔色が悪そうだが」 授業終わりに吉積先生が話しかけて来た。 授業が終わると学食組の生徒はすぐに食堂に向かう。 売り切れる事はまずないが、早く行かないと混雑してしまうからである。 なので今、教室に残って居るのは弁当組の僅かな人数である。 「いや…まぁ…別に具合が悪い訳じゃないんスけどね」 「んーそうか。確かに、なんか私が教室に入って来た時よりかはかなり顔色良くなってはいるな」 本当によく見ている。 「まるで、幽霊でも見た時の様な青ざめ方だったからな」 「はは…こんな昼間から幽霊なんて…」 聞くか聞かないかで悩んだが俺は先生に質問する事にした。 幸い、クラスに人があまり居ないから聞かれにくいだろう。 「…昨日、なんの事件があったんですか」 この質問が俺の今後の人生を大きく狂わせる事になるとも知らずに。
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