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1章 ー無くなる平穏ー
俺は傍観者だ。
今こうして息を吸い、それを吐き出す。ただそうしてるだけ。
それは人間なら誰しもがしてる事であり、俺も例に漏れずこうして息をしている。
世界が今、どのように動いていて3秒に1人、人の命が失われている現実を知っても尚、俺は傍観者であるのだ。
何故かと問われたら俺は傍観者である事を望んだから…としか言いようがない。
無力で、無知で、世間知らずで。平和なこの国で生まれ、育った俺の力などなんの役にもたたないのだ。
しかし。
世界で活躍する人間と俺との間に有る〝差″とは
例えば国を収める王様。
例えば国を支配する独裁者。
例えば悪を裁く英雄。
例えば悪事を働く悪党。
例えば…俺。
この中に仲間外れが居るとするならば、それは間違いなく俺である。
何故か。
簡単だ。俺は何も行動を起こさない。
国王は国を守ろうと行動し、独裁者は自分の信念を貫く為に行動し、英雄は弱き者を救う為に行動し、悪党は私利私欲を満たす為に行動する。
しかし俺は与えられた事のみを人並みにこなし、それ以上を行わない。それ以上を望まない。
それが俺との〝差″である。
たったのそれだけしか〝差″は無いのだ。
でも、俺は平凡で良いのだ。
平凡を望む。
傍観者を望む。
モブキャラクターを望む。
国王にも独裁者にも英雄にも悪党にもなりたいと思わない。望まない。
これが俺の生き方であり、俺、縄文 跳和(じょうもん とびかず)なのである。
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