1章 ー無くなる平穏ー

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「お前、アタシの授業真面目に受ける気あるのか?」 「まぁ…はい」 「いっ…つも!ぼーっとしやがって…まぁいいや、お前放課後アタシん所に来い。特別授業だ嫌とは言わせないからな」 「……」 「返事は?」 「…はい」 ほとんどの先生は俺が授業中にぼーっとしていても気づかない。 寝てる訳じゃないし、携帯をいじってる訳でもない。 ただ、ぼーっとしてるだけ。 ぼーっと隣の由依ちゃんの事を考え…ては、いない。 俺は真面目に授業をぼーっとしているだけなのだ。 でも吉積先生だけは、何故か俺の事を凄く見ている。 事ある毎に俺を当てる。 俺が目立つ。 俺が俺でなくなってしまう! 俺は誰だ? アイデンティティクライシス! そう。別に吉積先生の性格が苦手な訳じゃあない。 俺を気にする所が苦手なのだ。
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