1章 ー無くなる平穏ー

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門の前に警官が立っている。 パトカーも沢山見える。 この情報から分かるのは何か大変な事件が起きて、今、学校内立ち入り禁止になっていると言う事。 分からないのは何が起きたのか。 そして、今日は休校なのかどうなのかだ。 人集りの中に見知った顔を発見。 あれは吉本くん。 とりあえず彼に聞いてみよう。 「おはよー」 「あ、おはようじゃねーよ! みろよ、うちの学校えらい事になったなー!マスコミとか来るのかな?」 「マスコミ? 悪りぃ、俺今来たばっかりなんだ。何が起きたの?」 「マッジで? なんか職員用トイレで死体が発見されたんだってよ」 「おいおい、それは本当かよ。俄かには信じられないな」 「本当か?と聞かれると信憑性に欠けるけどな。俺も警察から聞いた訳じゃないしな。飽くまでここに居る人達が噂してんのを聞いただけだし」 「ふーん…で? 誰が死んでたとか分かってんの?」 「いや、これも飽くまで噂。聞こえた話なんだけど、死んでたのリョーコちゃんだったんだってよ」 「は…?」 リョーコちゃん。それは吉積先生のニックネームだ。 ニックネームって程のものではないが、一般生徒の半数以上は吉積先生の事をリョーコちゃんと呼ぶ。 「そういえばお前、昨日リョーコちゃんに呼び出されて無かった?」 そうだ。 俺は昨日吉積先生に呼び出されて、それを見つける事が出来なかった。 もしかしたらその時に隠れてた場所が職員用女子トイレだったのではないだろうか…
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