第1部『発車メロディと平和の国』

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パンを買って 帰りの電車 空はちょっと曇ってて 駅で乗り換え電車を待つ 今日一日を思い出して ほっと一息、空に返したら 「電車が参ります」 アナウンス レールを軋ませホームに入ってきたのは みんなを乗せた帰りの特急 超巨大バナナボート とりあえずまたがったけど 加速も速すぎて振り落とされた サラリーマンが凄い顔で必死にしがみついてる 死ぬ気で家に帰りたい そんな気迫が漂っている バナナボートは容赦なく 音速を越えてゆく 運転手はビキニの熟女 停まるはずの駅をスルーして 線路を外れて国道へ 国道から山へ 山から空へ 海を渡って ブラジルへ 最早しがみついているのは 落とされたあと走って追い付いた俺と あのサラリーマンと熟女の三人 三人はすでに仲間であった 一つの船に乗り込んだ 一繋ぎの何かを探す仲間 バナナボートは空を飛ぶ 飛行機にぶち当たっても速度を緩めず 衛星軌道に乗って 彗星と追いかけっこしながら もう帰ってこなかった 星になった 星になった熟女 熟女ネルラ ぼくたち、一緒にいこうねえ。
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