2222人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
名前は分からないけれど。
あの満員電車の中で、あの人だけが気付いて助けてくれた。
お礼を言わなきゃいけない。
「この人が私の身体を触ったんですっ」
私以外に名乗りをあげた被害者の女の子は、私よりも年上っぽい。
その彼女と、最後まで暴れる犯人を、駅員が連れて行くのを見送っている、その人。
渦中の人たちの姿が構内へ消えたのを見届けたあと。
私はいそいそと彼へ歩み寄った。
「あのっ」
声をかけた瞬間、彼が振り返った。
と同時。
私の意識は、瞬く間に別世界へ飛ばされた。
最初のコメントを投稿しよう!