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私の背後で、いったい何が起こっているのか。
「なぁ、これもしかしてカメラ?」
「い、いやっ……」
問い詰める声と慌てふためく2つの声が入り混じった会話に、周囲の人たちも反応している。
『ねぇ、痴漢だって! そういえば私の知り合いが、この電車で痴漢に遭ったって言ってたし』
『うわ、その話、私も聞いたことがある』
ひそひそと交わされる会話に混じって
『さっき触られた私っ、この人にっ』
とうとう私以外の被害者も手を上げた。
ここまで車内で騒ぎになれば、きっと痴漢だって逃げられない。
本当に助かったんだ、私……
電車が止まってドアが開いた瞬間
私は息苦しい車内から外へ飛び出した。
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