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「私、いつ、貴方を忘れてしまうのかしら。」
情事の後の気怠い空気の中で、彼女は僕の胸に頬を擦りつけ、呟いた。
そんな彼女が愛おしく、悲しくて。
僕はその細い肩を強く抱き寄せる。
「忘れないよ。絶対に。
僕が忘れさせない。」
彼女はだんだんと記憶を無くしていく病気だ。
もう、つい最近の記憶まで失っている。
もしかしたら。
自分と僕の血がとても濃いものであるという事も、忘れているのかもしれない。
彼女に遺されたのは、僕への想いだけ。
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