終焔~しゅうえん~

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「ねぇ、ずっと離さないで。 ずっとそばにいて。」 必死に縋りついてくる彼女の苦しみが、胸を突き刺す。 透明になって消えてしまいそうな彼女に、自分を刻みつけたくて。 僕はがむしゃらに彼女を抱いた。 その白い肌に、赤い痕をいくつも遺しながら。 いくら僕が彼女に痕跡を刻もうと。 彼女の中に僕の全てを注ぎ込もうと。 僕が彼女を救う術はない。 何一つ、ない。
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