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「ねぇ、連れてって。」
掠れ声で、囁かれ。
僕はガウンの腰紐を抜いた。
向かいあって、互いの手首を結ぶ。
強く、固く。
決して離れないように。
僕を見上げる彼女の表情は、まるでこの湖面のように穏やかだ。
愛しい頬を撫で。
赤い唇を、僕の強張った唇で塞ぐ。
唇を絡ませ、舌を舐め合いながら。
僕らは吸いこまれるように、湖に歩を進めた。
何も感じない。
温度も、肌に触れているはずの水の感触さえも。
やがて胸まで湖に食われると。
彼女は僕の首に縋り、絡みついてきた。
白い脚がなまめかしく、腰骨に引っかかる。
僕は彼女に口づけ、彼女の中へ深く深く、沈んだ。
折り重なるように。
潰し合うように。
二人、ゆっくりと、さらなる深みへと足を進める。
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