麗しの瞳

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あきらめがわるい。 周りからはよくそう言われる。でも、ネバーギブアップ! 精神だと賛辞されてるわけじゃない。 もうやめとけよ。しつこぞ。いい加減あきらめたら。そんなに引きずんなって。いつだって、あきらめのわるさに飽きられてきた。 往生際がわるい。こっちの言い方の方がしっくりくる。 自分だってこんな情けない性格は好きじゃない。可能性のないことは、もう終わってしまったことは、すっぱりと切り捨てて忘れ去りたい。 それでも生まれ持ってしまったようだし、一生向き合っていかなきゃいけないみたいだ。 ところで、そんな茅崎奏介(かやざき そうすけ)はさっそくその本領を発揮している。 「あぁ、やっぱりあっちの高校にしてればなー……はぁ……」 とっても春うららな入学式のあとの教室、奏介は誰にも聞こえない声で未練がましく嘆いていた。 教室では奏介の見知らぬ同級生たちがグループを形成して、仲良くじゃれ合っている。
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