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誰かが自分に話し掛けている。
しかも、不意に奏介の耳に入ったその声、どこか聞き覚えがある。でも、他の三校のヤツらには自慢じゃないが友達なんて一人もいない。中学三年間立派な帰宅部だった奏介にとって交流など皆無だった。
当てもなく中庭に向けられていた顔を正面に向けると、そこにいたのは――あろうことかザ美少女だった。
ああそうか、ついに妄想の世界に逃げ込んでしまったのか。しかも唐突に美少女が目の前に降臨するというオーソドックスなエロゲー展開。現実逃避の極みじゃないか。
「ねぇ、聞こえてる?」
ちょっとしかめたその顔と、大きな瞳がきらきらまぶしい。改めてぼっちの奏介に話しかけてきたのが絶世の美少女だとかくに……ん?
あれ?
あら?
でも、この声やっぱりどこか聞き覚えが……。それに目の前に広がるエンジェルユートピアフェイスも何となく見たことがあるような……。
とくに幼い声なのに力強いこのしゃべり方――。
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