1 背中合わせのインタビュー

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レコーダーのスイッチが入るとともに、インタビューが始まる。 インタビューの間は、相手が誰であろうと―たとえ、それが幼なじみであろうと、質問者と回答者という立場を崩したくない。 これもあくまで、私個人のプライドだけれど。 「まずは、夏の総合大会、県大会2位おめでとうございます」 バスケ部顧問の長岡先生にしては珍しく、2年の彼は総体に出場した。 私も写真を撮りたくて見に行ったけれど、その活躍は今までになくすごかった。 惜しくも、決勝戦の相手が去年の優勝校で負けてしまったが、それでも60-56の大健闘。 うちの学校が県大会で2位まで行けたのは川口のおかげだ、と引退した先輩は笑顔で口々に話していた。 ところが、その本人は表情を曇らせた。 「2位じゃ関東大会には行けねぇんだよ」
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