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「2位じゃ、ダメなんだ」
もう一度、自分に言い聞かせるように智ちゃんは言った。
「…細田先輩が怪我で出場できなくなってさ、2年にレギュラー回ってくるってうわさだったんだ。でも、俺だとは思わなくて」
「嬉しかった?レギュラーになれたとき」
へこたれた彼に、他人のふりなんてできない。
今だけ、今だけと言い聞かせて、私はいつもどおりの口調で問いかけた。
「嬉しかったよ。でも、プレッシャーのほうがでかかった。先輩最後の大会で足引っ張らないようにって」
それでも、県大会だけだった。
あとちょっとだったのに。
心の底から悔しそうな声に、この夏休みの練習で気合いが入っていたことにも合点がいった。
「じゃあ、次の大会で勝てるように頑張ってるんだね、智ちゃんは」
「…わかってた?」
「気合い入ってるなっていうのは、ね」
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