1 背中合わせのインタビュー

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参ったな、と智ちゃんは笑った。 「実にはバレバレか」 「そりゃ、何年智ちゃんのそばでバスケ見てきたと思ってるの?」 智ちゃんのバスケ歴=私のカメラ歴、だ。 そして、私のカメラの一番古いデータは、智ちゃんがバスケットボール片手に笑っている写真。 データをパソコンに落として、カメラからデータを削除するときも、この写真だけはいつも取っておく。 消せないのだ、なんとなく。 私のカメラとの生活の最初の思い出で、しかも被写体は小さい頃から仲良しの、大事な幼なじみ。 消さない、きっと、これから先もずっと。 「さ、気を取り直して、続けますよ。川口くん、今回」 「あのさぁ、」 突然智ちゃんは私の言葉を遮った。 「俺、後ろ向いてていい?」 ぱち、ぱちぱち。 私は3回ほど瞬きを繰り返した。 「…なに言ってるんですか?」 「実、やっぱりやりづらい」 「え?」 「そんな目で実に見つめられるのは、カメラ越しで充分」 「ちょ、ちょっと、意味わかんないよ智ちゃ…川口くん」 「そら見ろ、おまえだってやりづらいんだろ」 智ちゃんのせい、なんだけど! 「俺は、いつもの実と話がしたい」 そのくせ、そんなせりふ、そんな真剣な顔して言うなんて、卑怯だ。
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