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「なぁ、実」
触れた頭から伝わる熱と、よく知った汗のにおいにやっぱり安心して、ついインタビューのことも忘れて目を閉じていたら、ふと智ちゃんが言った。
「あのさ、おまえが頑張ってるのは、わかってる」
「え?」
「真面目にインタビューしたい気持ちも、わからないわけじゃない。けどさ、たまには趣旨を変えてみるのは、どう?」
趣旨を、変える?
どういうこと?
「今回は幼なじみとしての会話をメインにしてみたらって言ってるんだ」
「幼なじみとして?」
そう、と智ちゃんは頷いた。
「自然に、いつもの会話の中に質問をさりげなく入れてさ。おまえならできるって、俺わかってる」
やっぱり智ちゃんは、卑怯だ。
"おまえならできるって、俺わかってる"
その言葉に昔から弱いの、知ってるくせに。
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