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練習を終えて、Tシャツの衿元で頬の汗を拭っている彼に声をかけた。
「智ちゃん、お疲れ様」
「よ、今日は差し入れサンキューな」
アイスうまかった、と智ちゃんは笑ってみせた。
昔と変わらないその笑顔がかわいいな、なんて思う。恋愛対象かどうかは別として、私はバスケを終えた彼の表情が大好きだ。
私と智ちゃんはいわゆる幼なじみというやつで、小さい頃から家族ぐるみで親交がある。
智ちゃんと呼んでしまうのは昔からの癖で、一時期はやめろよと言われたけれど、ある時を境にぴたりと指摘しなくなった。
ただの反抗期だったのか、どうでもよくなったのか、私にはわからない。
そして彼は、私が家族以外で私のことを「実」と呼ぶことを許したただ一人の人だ。
彼以外の友達はみんな、ちぃちゃんのように「みぃ」と呼ぶ。
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