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私はさっきまで人数分のアイスバーが冷やされていたクーラーボックスから、あらかじめ濡らしておいたタオルを差し出した。
「もう、シャツで拭かないの」
額からぼたりと垂れてくる汗を、冷やしたタオルで抑える。
「あ、気持ちいい」
そう言って、目を閉じて額をぐりぐり押し付けてくる智ちゃん。
まだまばらに残っていたバスケ部員から、冷やかしの声が上がる。
「んで、実今日はどうしたの?部活?」
「え?メールしたでしょ。ちぃちゃんの代わりに私がインタビューするって」
そうだっけ、なんて言いながら首を傾げること約10秒、思い出したように智ちゃんは手を叩いた。
「そーかそーか、そうだった。だからずっと俺にカメラ向けてたのか」
「うわ、気づかなかったの?」
納得した様子で頷いて笑う智ちゃんに疑問をぶつけると、彼はあっさりと言ってのけた。
「いやぁ、実からのラブコールかな、なんて」
途端に私の頬に熱が集まる。
たらりと汗が一筋、流れ落ちた。
「ば、ばかじゃないの!?」
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