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意地悪な智ちゃんの策にすっかりはまってわたわたしていると、突然彼は吹き出した。
ああもう、やっぱりからかわれた!
「ちょっと、笑いすぎ」
「だっ…、だって、ぶはっ、おま、顔真っ赤だし!あはははっ」
よほどツボにはまった様子の彼は、やば、腹痛ぇ、とお腹を抱えて笑った。
「そういうこと言ってると、もう差し入れ持っていってあげないよ」
横目で睨みつけてそう言うと、智ちゃんは笑いながら謝って、私の髪の毛をさらさらと梳いた。
昔は頭をぐしゃぐしゃに撫で回したけれど、せっかく結ったポニーテールが崩れちゃうでしょ、と文句を言うとこうやって髪を梳きはじめたんだ。
それが一通りおさまってから、私は智ちゃんを促して、体育館のそばの花壇に移動した。
木陰になっていて、風が吹くと気持ちいい。
現代っ子にしてはエアコン嫌いな智ちゃんにはもってこいだ。
花壇のレンガに並んで腰掛けて、私は鞄からレコーダーとメモを取り出した。
レコーダーの充電残量はばっちり。メモリの残量も8時間は余裕。
全て問題ないことを確認して、私はもう一度智ちゃんに向き合った。
「じゃあ、はじめようか」
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