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一応これでも社会人5年目。
俺が勤めているのは、個人経営の小さな法律事務所。
…って言うとだいたい「頭いいんだね」って言われるんだけど、俺の仕事はただの事務。
まあ、簡単に言うとクライアントと先生とのアポ調整や、先生のスケジュール管理、それから書類整理ってとこ。
隣の、済ました顔で淡々と書類整理中の八巻は、仕事仲間で大学時代からの友人。
たまたま出会って、たまたま学部が一緒で。なんだかんだ言ってずっと一緒にいた。就職先も同じのいわゆる腐れ縁(byハル)。でも仲は良いと思う。
あだ名はハル。下の名前が遥だからっつー安直なあだ名なんだけど、こいつの綺麗な顔にはぴったりだと俺は思ってる。ちなみに、つけたの俺ね。
「おい」
じっと見つめていると、じろりとハルに睨まれた。
…切れ長の瞳に睨まれると、迫力あるから結構怖いんだよな。
なにげなさを装って、聞き返してみる。そう、びびったら俺の負けだ。
「え?」
「え、じゃねえよ。早くやんなきゃ小林さんに殺られるぞ」
……そうだった。
あきれたような視線に少し恥ずかしくなりながら、俺はあわてて大量の書類に手を伸ばした。
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