92人が本棚に入れています
本棚に追加
「義希、ゴメ…」
「うるさい!
もぅいい、勝手にしろ!」
あれはいつだっただろうか
あいつの部屋で
いつもの空間で
いつもと同じではなくなった日…
一瞬だった
無意識にこぼれた涙に驚いて
「俺が好き?」
そう、サラリと言ったナオミの言葉に頷いた
…一瞬だった
『別れよう…』
終わることがあるなんて
知らなかった…
後ろで名を呼ぶナオミの声を
耳を塞ぎ樹の生い茂る公園を駆ける
目の回りに熱を感じ泣くのだと思った
ひきつった咽の痛みに
我慢しているのだと知る
「…ッ」
薄暗い夜の公園
僅かな街灯と月の光に
静かに涙に染まる義希を
達也は見つめ
言葉に出来ない
心臓の音を聴いた
『好きな人が…出来たんだ…』
最初のコメントを投稿しよう!