夏休みまで

3/14
前へ
/45ページ
次へ
「義希、ゴメ…」 「うるさい! もぅいい、勝手にしろ!」 あれはいつだっただろうか あいつの部屋で いつもの空間で いつもと同じではなくなった日… 一瞬だった 無意識にこぼれた涙に驚いて 「俺が好き?」 そう、サラリと言ったナオミの言葉に頷いた …一瞬だった 『別れよう…』 終わることがあるなんて 知らなかった… 後ろで名を呼ぶナオミの声を 耳を塞ぎ樹の生い茂る公園を駆ける 目の回りに熱を感じ泣くのだと思った ひきつった咽の痛みに 我慢しているのだと知る 「…ッ」 薄暗い夜の公園 僅かな街灯と月の光に 静かに涙に染まる義希を 達也は見つめ 言葉に出来ない 心臓の音を聴いた 『好きな人が…出来たんだ…』
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加