夏休みまで

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「やぁ~ぱり 散歩は夜に限るよねぇ」 夜の公園で 風に当たり伸びをしながら 笑みを浮かべる義希は そうだな、と返し隣で小さく微笑むナオミを見上げる しかし、その表情が俄に曇る 言い知れぬ不安が過り 「…何…?」 と問いかける声音が震えていないかと 頭の隅で心配する 「あの、さ…義希」 (ありゃ、吹留と義希じゃないか?) 今日のバイトを終え自転車を手に 帰路へと向かう達也が目にしたのは どうやら「そういう関係」になっているらしい友人二人… 安倍義希と吹留ナオミ 周りでも女子が噂する程仲が良い二人だが 物好きな女子の妄想を膨らませる程度の噂のみで誰かが本気にしているかと言えばそうではなかった ただ、達也は知った…それだけの事だった …そう、それだけのこと わざわざ追及するのも違うと気がして 気付かぬフリでいつものように 仲間内のバカ騒ぎに乗じていた が、 「…こんな時間にでぇとかよ」 目の前にすると何故か苛立ち ここ最近独り言、主に愚痴が増えた 今もまさに一人で悪態ついてみせて 早々に立ち去ろうと決めた時 バチッ と乾いた音が響いき 駆け出す義希の姿が目に入る
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