夏休みまで

4/14
前へ
/45ページ
次へ
「おはよ─♪」 いつもと同じ いや、ややテンションの高い義希の朝の挨拶に 「よっちゃんオハヨ─」 と更に普段からテンションの高い 仲間の二人…吉原と岩田が手を振る 達也は素知らぬフリで 義希に笑顔を向け 隣に座るナオミとのやりとりを盗み見る 「ハヨ」 「はよ~」 欠伸をしながら席へ それは普段と変わらず 「…………」 昨夜見た 静かに、それでも痛みの映る姿には遠く 達也は不思議な感情に机に うつ伏せ義希を見ていた 「も~夏休みだよ~」 「最後の!」 昼休み 吉原と岩田が見事なタイミングで 夏休みの話を持ちかける 「どこか行~こ~う~よ」 吉原が机にしがみつき 遊びたいと唸る それに義希が小さく笑い 「行きたいとこあるの?」 と問いかけた が、特に目的はないらしく う~んと頭を抱えて 岩田、ナオミ、達也を見渡す 「ナオミちゃんは~?」 「え、俺?」 パンに食らいつこうとしたタイミングで聞かれ 少し慌てるナオミを義希は笑う 不意に肩が少し当たった 「あ、でもナオミちゃん駄目じゃん」 岩田が思い出したように 本人を指差す 「なんで~」 「だって彼女出来たんだろ?」 僅かに触れた肩が熱い
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加