夏休みまで

5/14
前へ
/45ページ
次へ
岩田の台詞に ナオミは今度こそ、と かぶり付いたパンを吹き出し 動きを止めたのは2人… 「え、そうなの?」 とあくまで冷静に達也がナオミをチラ見する 「じゃぁ、夏休みは彼女とずっと遊ぶの~?」 あきらかにブスくれた表情で吉原が抗議 やや俯き言葉数の減った義希に 構わず岩田が聞く 「よっちゃんは知ってた?」 「あ~…うん 昨日…聞いた…」 ニッコリ 上手く笑えてるだろうか、そんな事を考えながら 込み上げてくる何とも言えない感情に席を立つ 「ちょーと、トイレ。っと」 小さく震える手を押さえつけ 教室を出てゆく義希を見送り ナオミは胸の内でため息を吐いた 泣かせてばかりだと はじめはその泣き顔が可愛くて わざと虐めたこともあった その義希が泣かなくなったのはいつの頃からか… 義希を追いかけようと 立ち上がるナオミよりも早くに 達也が席を立った 「水分足んね… 購買行ってくる」 チラと視線がぶつかり チクリと痛んだ それは、焦りか…
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加