夏休みまで

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目を見開く義希を可愛いと思った 勢いよく手を振り払われたが その手のひらが熱い、とも思った 「あ…新、なんの冗談…」 制服の袖で涙を拭いながら後退りする義希を 追い込むように屋上の外へ… 扉の閉まる音がやけに大きく聞こえた 「じゃぁ… なんで泣いてんの?」 「そ…」 「なんで…慌てて 急いで ここへ来なきゃなんねぇの?」 「あ、あたら…」 達也の質問攻めに後退りを繰返し いつの間にか後ろはフェンス カシャンと背中で音が鳴る 行き場を失ったのは 体か気持ちか 義希は拭った筈の涙を溢した 「…知、ってたの?」 「うん」 「へ、ん…だよね…」 恐る恐る、そんな風に 達也を見上げて 涙の間にか細い声をだす これは、何 甘い、苦い、痛み 『俺じゃ、ダメ?』 口を突いて出た言葉に一瞬驚きはしたが 目の前の義希に自然な答えが落ちてくるよう 達也は左の指をフェンスに掛け 右の指で義希の涙を掬い取る 「…別に それなら俺も変だろ 俺、お前が好きだよ」
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