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「おっ?」
「あっ……」
教室を出たロベリアは、同じく隣の教室から出て来た男と目が合った。
彼のことを彼女は知っている。
彼の名はアルフレッド・カヤック。
百期生の学年主任であり、ロベリアの同期である。
学園に教員として雇われ、研修期間から一教員として授業を受け持つまでの長い期間、彼を含む数人の同期教員と一緒にいたことがある。
今や一人前の教員として授業を行うようになってからは、学園で擦れ違うことはあっても、時間を割いて会うようなことは少なくなっていた。
「今、終わりか?」
「えぇ、そっちも?」
「あぁ」
そう言って、二人は同じ方向に向かって歩き始めた。
進行方向の都合上、ロベリアが先を歩き、少し後をアルフレッドが歩く。
「何? ストーカー?」
「どう考えても、職員室に向かっているだけだろうが」
そう言って彼は溜め息を一つ吐くと、少し歩く足を早めて彼女に追いつき、横並びになって歩く。
ロベリアは横に立った彼の横顔を見て、少しだけ口元を綻ばせると、すぐに元に戻した。
「今日は、もう仕事は終わりか?」
「えぇ、そっちは残業でしょ? お疲れ様」
「……なんで決定事項みたいに言うんだよ」
「今や、アルフレッドという名前と激務、残業は等式で繋がっているって有名でしょ?」
「その方程式を証明した奴を心底憎むよ」
テンポの良い会話を交わすと、二人は思わず笑ってしまった。
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