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「あ、ユウこっちが近道だから…」 グイグイ手を引かれて、ビルの間の細い道を入る。 「……今なら、ひーちゃんの気持ちもわかるよ 俺、研修が終わって配属されたのは…本社じゃなくて営業所だったんだ。 独りで寂しいし、何やってんだろうっていつも思った。でも…弱い俺を知られたくなかったんだ… ひーちゃん、ゴメン」 街灯もない暗い道に、無駄に明るい自動販売機。 汗ばむ俺の手を離す事無く、並んで歩くヒカリは何を考えているんだろうか… 何も話さない僅か時間が息苦しさを感じた。 コインパーキングを通りすぎて、大通りに出る手前で立ち止まった。
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