119人が本棚に入れています
本棚に追加
狭いねって笑いながらヒカリを後ろから抱きしめて、身も心も満たされていた。
「夜行バスに乗って、ユウに会いに行ったんだよ…」
テレビを消して、真っ暗になった部屋。
「いつ…」
そっと伸ばした手はヒカリの唇に触れた。
「忘れちゃった…」
その手はヒカリの手に包まれた
「朝バス降りて、そのままユウの会社まで行った…
寂しくて…苦しくて。会いたくてヘンになりそうだったの
でも、怖くて…
向かいのパン屋さんから、信号の手前の靴屋さんまで何回も歩いたの…」
「……うん」
包まれた手とヒカリの温もりと声に安心して…眠気に負けそうだった。
「ガラス張りのビルを何時間も見上げたわ。
ココにユウがいるって思うだけで、口から心臓が出ちゃいそうで…」
「うん…」
「靴屋のおじさんに……」
ヒカリの話は最後まで聞く事無く、眠りについた。
最初のコメントを投稿しよう!