119人が本棚に入れています
本棚に追加
待ちに待った、週末。
正午前、人混みに紛れて改札口を出てきたヒカリを見つけた。
水色と白のストライプのシャツワンピースの彼女は、俺を見つけてほっとしたように笑った。
「顔色良くないよ。
…大丈夫なのか?」
顔を覗き込むと、上目づかいの彼女は小さく答えた。
「昨日、眠れなかったの。寝過ごしたら…と思うと怖くて、新幹線でも眠れなかった…」
その言葉に、彼女を早く抱き締めたくて…。
迷子になるなよ…強くヒカリの手を繋いで、賑わう構内を避けるように外へ出た。
「ユウ…何処に行くの?
ね、行きたい所、調べてきたんだよ」
俺の後を小走りで付いてくるヒカリの声に聞こえない振りをして、タクシーに乗り込み、行き先を告げた。
最初のコメントを投稿しよう!